認知行動療法とは、心の問題解決に向けて、認知技法(物事の捉え方やイメージしていること)と行動技法をも用いる心理療法の総称のことを言います。

認知療法・認知行動療法は、1970 年代に米国の Aaron T Beck が『うつ病』に対する心理療法として研究・開発したものです。(なので、認知療法・認知行動療法はうつ病の問題解決は最も得意)
その後、認知療法・認知行動療法は、うつ病はもちろんのこと、不安障害やストレス関連障害、パーソナリティ障害、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、性障害(セックスレスを含む)、摂食障害(神経性大食症)、統合失調症などの精神疾患に対する治療効果と再発予防効果を裏づける優秀なエビデンスが多く報告されてきたことから、欧米を中心に世界的に広く使用されるようになりました。
また、精神疾患以外でも、日常のストレス対処、夫婦・家族問題、産業や司法、教育場面の問題など、その適用範囲は広がりを見せています。

現在、クリニックや病院で認知療法・認知行動療法に習熟した医師(どの程度学習した医師のことをいうかの規定はない)が行うことが条件で、医師又は看護師がうつ病等の気分障害、強迫性障害、社交不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害又は神経性過食症に対して、認知療法・認知行動療法を30分以上行う場合16回まで保険診療の対象になります。
『習熟した医師』について千田としては、最低でも3年程度はしっかり学習して、スーパービジョン(実際の患者さんに行って指導してもらう方法)も20回程度は受けた医師であってほしい。
公認心理師(国家資格)も今後は診療報酬改定で対象になると思われます。

認知行動療法とは

認知行動療法の当初のベースにある代表的な方法

アーロン・T・ベック博士の認知療法
(CT:Cognitive Therapy)

アルバート・エリス博士の論理情動行動療法
(REBT:Rational-Emotive Behavior Therapy)

行動療法から発展した認知行動療法

これらに共通する考えは、心の問題や症状は、ある出来事に対して、あなたがそれをどう受け止めたか、どのような見方をしたのかなど、認知体系(考え方・視覚的イメージ)によって、その結果として、不快な感情や問題行動などが起こり、心の問題や症状となって表れると考えます。
そうした、認知体系(考え方・視覚的イメージ)を第一のターゲットとして修正していくことで、心の問題や症状を軽くしていこうとする。
そして、最終的には、あなた自身が認知行動療法を用いてセルフコントロールできるようになることを目指します。

上記以外にも様々な認知行動療法がございます。
例えば、
「マインドフルネス」「メタ認知療法」「アクセプタンス&コミットメント・セラピー」「問題解決療法」「弁証論的行動療法」「夫婦・家族の認知行動療法」
各症状に合わせた技法を用いる認知行動療法
「ASDの認知行動療法」
「ADHDの認知行動療法」
「睡眠障害の認知行動療法」
「統合失調症の認知行動療法」
現在は、このように認知行動療法と言われるものがたくさん出てきております。

リスタでは、2002年より医師や公認心理師、臨床心理士、看護師、教諭等を対象に認知療法/認知行動療法をセミナーや研修で指導もしております。

こんな場面を想像してみてください。

 怪談話ではありませんが、夏の暑い夜、あなたは、一人で眠ろうとしています。突然、二階の部屋からガチャンという音がしました。その瞬間あなたはドキッとして、恐怖に縮み上がります。このときあなたはどんなことを考えていたでしょうか?「泥棒が入ったかもしれない」と考えると、あなたの恐怖心はどんどん強くなって、あなたは、息を潜め、聞き耳を立て、そのままじっとしていることでしょう。しかし、その時にあなたは窓を閉め忘れていることに気づき、「風の影響でカーテンが物に触れて落ちたのか」と考えると、さっきまでの恐怖心が少なくなって、何があったのかを確認するために、二階の部屋を確認しに行くことができることでしょう。このように同じ出来事に対してもいろいろな考え方があります。認知療法はこの考え方に着目して、様々な出来事に対しての不適切な考え方を変えることによって、不快な感情や行動の仕方を変えていこうとする心理療法です。

上記の内容について「認知モデル」を使って5つの領域で考えると、

環 境 (状況): 「一人で眠ろうとしているときに、二階の部屋からガチャンという音がした」

認 知 : 「泥棒が入ったかもしれない」

行 動 : 「息を潜め、聞き耳を立て、そのままじっとしている」

気 分 : 「恐怖、不安」

身 体 : 「心臓がドキドキする、手に汗をかく、呼吸が速くなる」

その後の環境以外の変化、

認知 : 「窓を閉め忘れていることに気づき、風の影響でカーテンが物に触れて落ちたのかな」

行動 : 「何があったのかを確認するために、二階の部屋を確認しに行く」

気分 : 「恐怖、不安のレベルが下がる」

身体 : 「平常に戻っている」

当ルームの認知行動療法

 当ルームの心理師・千田恵吾は、アーロン・T・ベック博士の認知療法を中心とした認知行動療法を日々のカウンセリングを行っているので、ここからはアーロン・T・ベック博士の認知療法についてご説明していきます。

認知療法はどんな心の問題に有効なのか?

 認知療法は1960年代初頭にペンシルバニア大学認知療法センターのアーロン・T・ベック教授が、気分が滅入って何もする気がしなくなる病気「うつ病」の治療法として始まりました。その後は、「うつ病」以外の様々な問題の治療にも用いられております。
例えば、
「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠如・多動症(ADHD)」「社交不安障害やパニック障害などの不安障害」「強迫性障害」「心的外傷後ストレス障害」「ストレス疾患」「いらいらや怒りなどの感情の問題」「対人関係問題」「夫婦関係問題」「心身症」「摂食障害」「人格障害」などの問題に効果が期待できます。

また、日本では厚生労働省は医療機関において、以下の疾患に対して認知行動療法のトレーニングを受けた医師と看護師が30分以上行う場合は16回まで保険診療を認めております。
令和4年に医療改正があるのでこの時に「公認心理師」も認められるであろうと考えております。
「うつ病」
「社交不安障害」
「パニック障害」
「強迫性障害」
「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」
「神経性過食症」

認知療法はどのようにして進められるのか?

代表的な進め方の一つ。(代表的な技法による進め方・認知再構成法)

①あなたが困っていること、あなたが解決したい問題をはっきりさせましょう。
 ノートなどに書き出してみましょう。

②どういう場面やどのような状況の時に問題が起こっているかを調べてみましょう
 例えば、会社の会議中/会社や学校に行こうとしているとき/家でくつろいでいる時など人によって様々な場面があると思います。

③その時のあなたの感情(気持ち)や行動、そして、あなたの考えについて調べてみましょう。
 例えば、会社の会議中→感情・不安→考えた事(自動思考)・「説明がうまくできなかったらみんなから馬鹿だと思われないだろうか。」       
 感情とは、不安、悲しみ、怒りなど単語として表れるものです。
 考えとは、不安、悲しみ、怒りなどの感情が起こったときにあなたは何を考えていたのか。あなたの心の中でどんな考えが浮かんでいるのか。認知療法では、不安、悲しみ、怒りの感情が起こる前に浮かんだ考えを自動思考と呼んでいます。自動思考は誰でも経験するものですから、練習すれば上手につかまえられるようになります。

④あなたの考え方があなたの感情や行動にどのように影響しているかを調べてみましよう。

⑤あなたの考え方が適切かどうか、あなたの役に立っているか調べてみましょう。
 あなたの自動思考が正しいかどうか、あなたの役に立っているかどうか、じっくり調べてみましょう。
 例えば、「絶対に」とか、「一度もない」とか、極端な言葉使いをあなたはしていませんか。
 不安や怒りなど不快な感情にとらわれているときには、普段とは違った考え方をしがちです。
 治療者の助けをかりながら、あなたの考え方に歪みが無いかどうか、探ってみる必要があります。

⑥同じ場面で別な考え方(合理的な考え)ができないかどうかを調べてみましよう。

⑦日常から別の考え方を考える練習をしてしていきましょう。
 最後の仕上げとして、新しい考え方を毎日の生活の中で試してみましょう。新しい考え方についてあなたが納得できるようになる事が大切です。新しい考え方がすぐにはあなたの腑に落ちないかもしれません。
 だからといってすぐに止めてしまわないで、繰り返し練習する事が重要である事を忘れないで下さい。
 最後に、認知療法では、このようにしてあなたの考え方を修正していこうとするのですが、それ以外にもいろいろな方法が用いられます。例えば、行動を修正する技法より、あなたの日常の行動を自己観察したり、毎日の行動計画を立てたり、予行演習をしたり、相手に自分の気持ちを上手に伝える練習をしたり、難しい問題を少しずつ解決していく方法やエゴグラムという性格テストを使っての自己開発など認知療法を中心に様々な方法を取り入れて行われます。