妊活(不妊症含む)を始めたら、産前・産後うつ病や不安症の予防も考える。


ご夫婦が妊活や不妊治療を考え始めたら、妊娠前・妊娠中・産後のメンタルの健康問題も一緒に考えていただきたい。
というのは、妊娠中にうつ病になる確率は、約10%、産後うつ病になる確率は、7人~10人に1人(10%~15%)と研究で明らかになっている。
また、産後うつ病などになる確率が、過去にうつ病を経験している人は、うつ病を経験していない人に比べて高くなることもわかっている。
日本産婦人科医会/O’Hara et al,1996; Yamashita et al,2000


それと、前回に書かせていただいた『母親が妊娠前や周産期にうつ病になった場合、子供が自閉スペクトラム症になるリスクはどれぐらいあるのか』なども知ったうえで、妊娠前~妊娠後のメンタルの健康を維持する方法を考えてみたいと思います。


一番目は、
夫婦仲が良いこと。
これは、日常の夫婦関係が良いことや二人が性生活を楽しんでいること、それと子育ての方針もおおよそ一致していることが含まれます。
性生活を楽しんでいるというのは、妊活や不妊症の方が初めにタイミング法から行う思いますが、その場合、排卵日を正確に予測して性交を行う方法ですが、タイミングにこだわりすぎるとプレッシャーが強くなりストレスとなってましいます。なので、普段からセックスを二人が楽しんでいることが重要です。


ここで問題がある場合は、夫婦関係の問題は『夫婦療法』を、セックスレス(未完成婚を含む)等の性生活の問題は『セックスカウンセリング/セックスセラピー』を受けて解消するようにしてください。
ちなみに、『夫婦療法』と『セックスカウンセリング/セックスセラピー』は行う方法が全く違うものです。



二番目は、
個人個人が仕事や生活で精神的ストレスや肉体的な疲労があれば、すぐにでも解消方法を考え実行する。


なぜなら、下記の図のようにストレスがあると自律神経のバランスが崩れ、尚且つ解消せずにいると免疫の低下やホルモンバランスの乱れなどが起こり、その後にうつ病などのストレス疾患になる確率が高くなります。(一番目の夫婦関係が良くないと、それもストレスとなってしまいます)


図、ストレスを受けてからうつ病などの疾患になるまでの経過



また、ストレスは以下のような妊娠がしづらい身体の状態にもなってしまいます。

女性は、仕事や家庭などで強いストレスや緊張状態が続くと、子宮と卵巣血流の持続的低下をもたらすことになり、卵巣ではよい卵に育つための栄養が来ないということになってしまいます。
また、子宮も着床時に必要な子宮内膜の増殖や肥厚に影響を及ぼしてしまいます。
ストレスは交感神経を緊張させてしまい、それが続くと血液が卵巣や子宮に行かなくなってしまうことと、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が抑えられてしまいます。


男性は、仕事や家庭などで強いストレスや緊張状態が続くと、射精量(精液量) や精子の数の減少と濃度の低下と関係していることが分かっています。
また、精子の運動能力(運動率) も低下することもわかっており、卵子に到達する精子の数が少なくなり受精能力の低下につながる恐れがあります。


ストレス解消方法
1、適度な運動を生活スタイルに組み込む。
例えば、
●ウォーキング(早歩き):一回30分程度を週3日~5日程度
●ヨガやピラティス:週に3日程度
●リラクゼーショントレーニングやストレッチ:ほぼ毎日行うことができ、運動が苦手な方もできます。
他にも水泳なども有効な方法です。
運動によるストレス解消は、ホルモンバランスの改善につながります。


2、運動はちょっと苦手という方は、趣味の時間を生活スタイルに組み込む。
何でも構わないと思います。
自分が好きで没頭できるものが良いかと思います。


ご注意
①、運動や趣味が億劫になりはじめたら、早めに認知行動療法や三番目の鍼治療を受けられることを勧めます。
②、①で対処せずに我慢してしまった結果、2週間以上憂鬱な状態が毎日続いている場合は、早々に精神科を受診してください。




鍼灸治療のページ鍼灸治療-ストレス疾患と自律神経疾専門
関連疾患として不妊症と痛みの治療も専門に行っている。



三番目は、
仕事や生活での精神的ストレスや肉体的な疲労を鍼治療で解消。
先ほどの図の『ストレス』の段階から『自律神経のバランスが乱れる』までであれば鍼治療は有効です。


鍼治療が苦手でなければ、定期的に受けられることをお勧めします。(1週間~2週間に1回程度)

生理学、医学、鍼灸学などの現在医学的鍼の研究で、鍼治療で自律神経のバランスを整えたり、抑うつ状態を解消できることが分かってきております。
※東洋医学=経験医学では、はっきりとしたエビデンスが示されていないのと、当ルームでは用いていないために、ここでの説明は省略いたします。


鍼治療は、自律神経や身体のコンディショニングを整えるためにも、妊活を始めると同時にスタートされるのがいいのではないかと思います。
不妊治療を行う予定の方も、早い段階から鍼治療を加えられるのもいいのではないかと思います。
また、当ルームでは公認心理師であり鍼灸師が鍼治療を行っているために、ストレスなどを感じ始めたときに少しお話をしたり、また、必要に応じで本格的に認知行動療法などを取り入れた心療鍼灸までを行っております。