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自閉スペクトラム症(Autism spectrum disorder:ASD)(以後はASDと書きます)
ASDは、「社会的コミュニケーションの障害」と「限定された反復的な行動様式(Restricted and repetitive behavior:RRB)(以後はRRBと書きます)」を2つの中核症状とする神経発達症と定義されています。
「社会的コミュニケーションの障害」とは
1、会話のやり取りや感情を共有することが難しい。
2、人との交流で、身振り、手ぶりなどの非言語的なコミュニケーションがとれない。
3、年相応の対人関係が築けない。
「限定された反復的な行動様式(RRB)」とは:興味や行動への強いこだわり
1、常に同じ動きや会話を繰り返す。
2、同一性への強いこだわりがある。
3、非常に限定的で固執した興味がある。
4、音や光などの感覚刺激に対して、極度に敏感か鈍感。
具体的には、
「社会的コミュニケーションの障害」では、臨機応変な対人関係が苦手
対人交流では、
・面白いことやうれしいこと、興味などを対人交流では分かち合ったりしますがこれが苦手。
・会話は双方向なのですが、この双方向の交流が続きにくい、典型的には、一人でいることを
好む特徴がある。
・会話はお互いが相手の話を聞いて、それに対してまた話しかける。ということを繰り返して
いるのですが、受け身的な態度で会話が成立しなかったり、自分から話しかけることもあり
ますが、一方的に話すのでかみ合わないことがあります。
言語的コミュニケーションでは、
・独り言。
・エコラリア(反響言語、オウム返し)というのですが、相手の言葉を繰り返す。
・抑揚が不自然である。
・こちらの言語指示にピンとこない。
・会話がかみ合わなかったり、敬語が不自然や皮肉が通じない。
非言語的コミュニケーションでは、
・表情や姿勢が不自然で、身振り、指差し、視線などのコミュニケーションがうまく使えなか
ったり、理解できない。
・会話をしていて言葉にはしていないが、そこに含まれていることの言葉以外のことは理解で
きない。
・話の文脈を理解することが苦手。
「限定された反復的な行動様式(RRB)」:興味や行動への強いこだわりでは、
自分の関心、やり方、ペースの維持を最優先させたいという志向が強い。
・関心が強く、特定の物に興味を持つ反面、それ以外の物にはほとんど興味を示さない。
・やり方や手順については、特定の手順を繰り返すことにこだわる。また、常同的な動作を繰
り返す。
・ペースを維持したがります。他人に自分のペースを乱されたくないという意識が強い。
こだわる対象や頻度は
・身体を使った常同行動には、手をひらひらさせたり、手をたたく、ぴょんぴょん飛び跳ねる
、クルクルその場で回転するなど。(これらの行動は知的な遅れのある子供に多いと言われ
ています)
・物の配置についてのこだわりは、特定の物は常に決まった場所おかれていないといけない。
・スケジュールや段取りは、常に同じルーティーンで行いたい、変わると急にわけわからなく
なったり不安になったりする場合もあります。
・相手と場所では、この場所にこの人がいるときにはこの行動をとるというこだわりです。相
手が変わると同じ場所でも行動が変わったりします。
・幾何学模様やデジタルな情報がものすごく好きだったりする人もおられます。
・特殊な能力としては、機械的な記憶として年表を丸暗記してしまったり、何年の何月という
とその時の曜日を当てたり、また、あることに興味を持つことでマニアックな知識となったり
することもあります。
どのぐらいの人がASDなのか
弘前大学大学院医学研究科 神経精神医学講座 斉藤まなぶ准教授、弘前大学大学院医学研究科
子どものこころの発達研究センター 中村和彦教授らの研究グループが、2020年5月14日
に英国の学術雑誌Molecular Autism誌に国内の自閉スペクトラム症(ASD)の有病率の発表を
されました。
5歳児におけるASDの有病率は3.22%
(小学校で考えると大体1クラスに一人はいることになります)
男女の比率は、男・1.83:女・1
ASDの88.5%は少なくとも一つの発達障害の併存がある。
以下の%で他の発達障害が併存している
50.6%に注意欠如・多動症
63.2%に発達性協調運動症
36.8%に知的発達症
20.7%に境界知能
ASDのすべての診断基準は満たしていないがその傾向がある児童・者を含めると
臨床的に約10%程度の方(10人に一人の割合)がおられると言われております。
参考文献:
高橋三郎・大野裕監訳『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』
医学書院 2014/6/30
Prevalence and cumulative incidense of autism spectrum disorders and the
patterns of co~occurring neurodevelopmental disorders in a total population
sample of 5-year~old children.
著者:斉藤まなぶ、中村和彦、他
雑誌名:Molecular Autism

自閉症スペクトラム症(以下、ASDと呼びます)の方に対して、ACAT(エーキャット)という認知行動療法を用いてASDの人とその家族に対して、心理教育と適応的思考と行動の獲得を目指すプログラムを行っております。
※ACATとは
「ASDに気づいてケアするプログラム
(Aware and Care for my Autistic Traits:ACAT)」
千葉大学子どものこころの発達教育研究センターの大島氏らが開発
ACATでは、思春期以上(11歳位から成人)の方を対象に作られております。
セッションは認知行動モデルというものを用いて進めてまいります。
(大島氏らの認知行動モデルを改変)
認知行動モデルとは
うつ病や不安障害、適応障害、対人関係問題などの場合は、私たちは様々な環境や状況の中で生活をしているわけですが、認知行動モデルでは、その環境や状況に対して「認知」として「どのように捉えたか」「どのようにイメージしたか」それによって「行動」や「気分」「身体反応」に一瞬で影響を及ぼすと考えます。
認知行動療法では「認知」と「行動」に焦点をあて、問題となっている「認知」と「行動」を修正することで問題解決を図ろうとする心理療法です。
ASDの認知行動療法であるACATの場合
上記の認知行動療法と大きく違うところは、自身の「ASDの特徴」はどのようなものであるかを詳細に理解することから始めます。
なぜなら、自身の「ASDの特徴」がその「状況」に対して、一瞬で反応する「認知」と「行動」のパターンに強く影響を及ぼしているからです。

自閉スペクトラム症に対して行っている認知行動療法については、日々、追加作成してまいります。
完成まで今しばらくお待ちください。
1・自閉スペクトラム症(ASD)の認知行動療法プログラム-受講者受付中-
自閉スペクトラム症(ASD)の認知行動療法プログラムでASDの症状をなくすことは
現在のところできません。
プログラムでは、自身のASDの特徴をまず理解し、その特徴をマネジメントして生きや
すくなるための方法です。
当ルームでは、以前よりASDでお困りの小学生高学年~大人までの方を対象に認知行動
療法を行っておりますが、ASDに対する認知行動療法の認知度は低い状況です。
今回、2021年2月1日よりASDでお困りの方で認知行動療法を受けてみたいという
方を対象に、人数制限はございますが割引費用でのプログラム参加者の募集を行います。
募集人数:限定10名(定員になったところでプロクラム募集は終了いたします)
対 象:16歳以上 大人の方
参加条件:①IQ・80以上 ②ASDの検査を受けている人
③ASDと診断されているまたは、ASDの傾向がある言われた人
④ASD以外に併存する疾患があっても可能 例、ADHD、うつ病、その他
⑤心理・知能テストを希望される方は当ルームでも行っております。
⑥テストを受けている人はオンライン(ZOOMかスカイプ)でも可能です。
相談回数:週1回・50分で14回~20回(理解度により回数が変わる)
相談費用:通常1回・50分・8,250円(税込)が 今回は5,500円(税込)
テスト希望者:別途費用として、15,000円~50,000円
(心理・知能テストの種類によって変わります)
お問い合わせ:info@y-sinrisoudan.ne.jp
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