1、境界知能とは
2、境界知能にある子どもと大人の特徴と困りごと
3、境界知能の子供にできる支援とは?
4、リスタが行っているトレーニング(コグトレ)

境界知能とは

境界知能


境界知能とは、一般的に知能指数(=IQが70~85未満のことをいいます。

一般的にIQ85〜115が平均で、IQ70未満は低いとされている。
「IQ値が50〜70未満の軽度知的障害」と「平均のIQ85〜115」との間にあるIQ値を境界知能と言っています。
なお、境界知能という診断名はございません。



境界知能の人数
人口に対して約14%、約1,700万人もの方おられると言われています。
(7人に1人・仮に小学校や中学校でひとクラスが35人だとしたら約5人いることになります)


境界知能の方は、子供のころから『勉強が苦手』『コミュニケーションが苦手』『運動が苦手』といった学習面、社会面、身体面で問題を抱えているために、生きづらさを感じながら過ごされている方が多くおられます。
また、IQだけでなく実行機能(自己制御、推論、その他)の問題も指摘されている。
実行機能においては、ADHDの方も問題となっている。


境界知能という言葉はいつごろから使われ始めたのか。

アメリカ精神医学会が作成している『精神疾患の診断基準・診断分類』というのがあります。
正式には「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」といい、頭文字をとってDSM「ディーエスエム」と呼びます。
現在使用されているDSM-5は、第5版で2013年に公開されました。
当初のDSM-Ⅰの診断基準では、IQ70~85を軽度の知的障害、DSM-ⅡではIQ68~83を軽度精神遅滞(軽度知的障害)となっていたが、DSM-Ⅲ(1980)からは境界知能(IQ70~85未満)は知的障害ではなくなっています。
また、世界保健機関(WHO)が発行するICD(国際疾病分類)においても、第8版のICD-8(1965~1974)では、IQ71~84を境界線精神遅滞(境界知的障害)としていました。その後の第9版のICD-9以降はIQ71~84を知的障害に含まなくなっている。現在はICD-11(2018)である。
ここでは知的能力障害(知的発達障害)のことを知的障害と書かせていただいております。



境界知能が注目されたのは
境界知能という言葉が日本でこれほど注目され始めたのは、2020年の著書「ケーキの切れない少年たち」著者・宮口幸治氏(児童精神科医師)の発売からではないかと考えます。
そこには、宮口氏が医療少年院で勤めていた時、非行少年たちが『計算ができない』『漢字が読めない』『簡単な図形さえ模写できない』『計画が立てられない』『見通しを持てない』などの認知機能が弱いこと知ったことなどについて書かれています。

以下の特徴があったことを書かれています。
認知機能が弱い:・見る、聞く、想像する力が弱い
        ・反省ができない
感情統制が弱い:・感情をコントロールできない
融通が効かない:・予想外への対処が苦手
        ・被害者意識を持つ傾向がある
自己評価が不適切:・自分の課題がわからない
         ・自信がありすぎたりなさすぎたりする
対人スキルが乏しい:・人とのコミュニケーションが苦手
身体的な不器用さ:・手先が不器用

なお、境界知能を持つ人がすべて非行になるわけではございません。ただ、学校や社会生活の中で生きづらさを抱えて生活をしていることは間違いないと思います。


もう一つは、2020年7月30日のNHK NEWS WEBで取り上げられたことも注目された一つであろうと考えます。
NHK NEWS WEBサイトにリンクしています。

なぜ何もかもうまくいかない? わたしは「境界知能」でした


境界知能にある子どもと大人の特徴と困りごと

境界知能にある子どもの特徴と困りごと


境界知能の子供の特徴と困りごととはどのようなものなのか。

●小学校低学年から勉強が理解することに難儀している
・国語の漢字の読み方や教科書に書いてあることの意味がうまく理解できないでいる。
・算数では数字の桁数が多くなると計算できなくなることがしばしば起きる。
●授業に集中ができない。
●授業の進むスピードについていけない。
●授業中に座っていることが難しい子供もいる。
●友達やクラスなどでのコミュニケーション
・集団のルールや決まり事が理解できなかったり、相手の言っていることの意味が理解できなかったり、自分が伝えたいことをうまく伝えられなかったりする。
●運動が苦手であったり不器用で作業ミスがある
●登校を渋りがちになる
●身の回りのことや社会生活で困難になることがある。
・身だしなみを整える
・整理整頓が難しく不便を感じる
・お釣りの計算や電車の乗り換えなどが難しい


周りに気づかれずに辛い思いをしながら生活をしていると二次障害が起きることが多々あります。


境界知能にある大人の特徴と困りごと


境界知能の大人の特徴と困りごととはどのようなものなのか。

●予想外なことに対処するのが苦手、臨機応変な行動や振る舞いができない。
●見る・聞く力が弱く物事を理解するのに時間がかかる。
●想像力が弱いため、話の裏の意味を読んだり、冗談を理解することが苦手。
・空気を読んだり、相手の気持ちを察したりすることが苦手。
・悪気はないが相手が気分を害するような発言をしてしまう。
・比喩や例え話を相手の意図通りに受け取ることがうまくできない。
●一方的なコミュニケーションになりがち。
●対人関係のトラブルを起こしやすいために孤立してしまうこともある。
●仕事を何度も解雇されたり、就職や転職がしにくい。
●本人が社会生活で困っていても、社会的には「健常者」であるために、適応できずに自己肯定感が下がり、生きづらくなってしまう。
●日常生活や仕事において困難を感じる場面が多くある。
●普段の金銭管理や役所などの手続き、携帯電話などの様々な契約を行う場面が苦手でできなかったりする場合もある。
●職場では指示されていることの理解ができなかったり、業務マニュアルなどに少し難しい漢字があると理解できなかったり、仕事内容を覚えるのにどうしても時間がかかってしまったりします。


大人の方も日常生活や仕事で困りごとが続くことでプレッシャーなどから、うつ病などの二次障害が起きてしまうことも多々あります。

二次障害や併存疾患の問題

二次障害で困られて相談に来られる方が結構おられます。(本人、親が二次障害であることを気づかずに相談に来られる方が多くおられます)

境界知能の子どもは、知的障害の診断がつかないために、学校生活での『学業面』『コミュニケーション』『運動や動作』そして、日常生活などでうまくいかずに生きづらさを感じ困っている。ただ、本人にも理由がわからない困りごとが多く、周りにも気づかれることが少なくサポートにつながらないことが多い。

そのため、本人は「何となくいつもうまくいかない」というストレスが日々積み重なり、非行や不登校、うつ病、不安障害、その他の精神疾患につながる可能性も指摘されています。これは二次障害と呼ばています。

当然、小学生から大人まで二次障害になる可能性がございます。


併存疾患
境界知能の方に自閉スペクトラム(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)などの神経発達症が併存している方が多いのではないかと言われております。
この点は、統計処理されたデータがないために、多いのではないかという臨床実感を含んだあいまいな表現を用いております。


こちらのページもご参考に


中学生~成人(社会人)の自閉スペクトラム症(ASD)の認知行動療法
-認知行動療法によるセルフケア(マネジメント)の方法を学ぶ-



中学生~成人(社会人)の注意欠如・多動症(ADHD)の認知行動療法とコーチング
-実行機能のセルフケア(マネジメント)の方法を学ぶ-
日常生活における実行機能-時間の管理/整理整頓のシステム作りと実行・維持/計画を立て実行



境界知能の子供にできる支援とは?

境界知能という問題(障害ではないが本人が困っている問題)について、お母さん、お父さんの理解がまずは大切です。

境界知能の人の特徴や抱えている困りごとを踏まえた上で、周囲の人はどのような支援を行うのが望ましいのでしょうか。

努力しても物事ができない経験をたくさんされているので、自己肯定感を高めるためにも成功体験を積みやすい課題を選んであげてやらしてみる。

専門家に客観的な評価ができないと言われたとしても、本人がやる気があるのであれば一度はチャレンジさせてみる。


学習の土台となる認知機能を強化するためのトレーニングに取り組む。

一般社団法人日本COG-TR学会(代表理事:宮口幸治氏 児童精神科医)では、認知機能強化トレーニングをはじめコグトレを指導できるトレーナーの養成も行っております。
コグトレとは、認知機能強化(記憶、言語理解、注意、知覚、推論・判断等、知的機能)を目的としたトレーニングと認知作業(運動能力や協調運動など)を目的としたトレーニング、認知ソーシャル(感情コントロールや対人関マナーなど社会性)トレーニングの3つから成り立っております。



リスタが行っているトレーニング

公認心理師である千田が、境界知能でお困りの小学生~中学生(希望する高校生)を対象に個別指導(マンツーマン)でコグトレを行っております。

はじめに認知機能強化を目的としたトレーニングから行います。
希望者は認知作業(運動能力や協調運動など)トレーニング、認知ソーシャル(感情コントロールや対人関係マナーなど社会性)トレーニングも行っております。


コグトレのイメージ
スポーツで例えると、野球、サッカー、走り幅跳び、その他のスポーツの技術指導を受けることで上達をするわけですが、上達のスビートが個々で違ったりします。それは、基礎的な運動能力の違いによって大きく変わってきます。なので、基礎的なトレーニングが必要になるわけです。
例えば、体感の安定を含んだ筋トレ、瞬発力、敏捷性、平衡感覚、柔軟性、動体視力、その他にも基礎トレーニングを行うことで競技力がアップします。

コグトレも算数・数学、国語、理科、社会、体育などが野球やサッカーの競技の技術練習だとしたら、コグトレは基礎的な認知機能強化や運動能力や協調運動、感情コントロールや対人関係マナーなど社会性など基礎トレーニングとなります。


対象:
・境界知能でお困りの小学生~中学生プラス希望する高校
・ADHDの小学生~中学生プラス希望する高校
・平均のIQだが、成績が伸びないで困っている小学生~中学生

今後は境界知能の4歳と5歳の募集も行う予定


目 的:
認知機能強化:記憶、言語理解、注意、知覚、推論・判断のトレーニング
記憶と言語理解:覚える-視覚・聴覚の短期記憶、文章理解
注意:数える-注意力、集中力、処理速度
知覚:写すと見つける-視覚認知の基礎力(模写、形の把握)、視覚認知の応用力(形の恒常性)
推論・判断:想像する-方略、論理的思考、関係性理解、時間概念


時 間:週に1回50分(曜日と時間は固定とさせていただきます)
平日:①午後3時30分~4時20分 ②午後4時30分~5時20分 ③午後5時30分~6時20分
火曜日は定休日


定 員:各曜日とそれぞれの時間に1名
1週間で12名となります。

定員の場合は終了者が出た曜日と時間に募集いたします。


回 数:ワンクール24回(約6か月間)
途中の経過報告や終了後の経過報告を行います。
希望者はツークール、スリークールと順に行ってまいります。



 用:184,800円(税込)
支払方法:一括払い又は6回分割(ひと月・30,800円)


テスト費用:33,000円(税込)
申込時に行っていただく、WISC-Ⅴやその他検査費用

1年以内にWISC-Ⅴやその他の知能検査を行っている方は、テスト結果をお持ちください。その場合は当ルームでのテストが必要ない場合もあります。(テスト費用はいただかない)


コグトレページは近日中にアップいたします。



参考文献:
「ケーキの切れない非行少年たち」著者:宮口幸治 新潮社 2019/07/13
高橋三郎・大野裕監訳『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』 医学書院 2014/6/30
コグトレ みる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング 著者:宮口幸治 三輪書店 2015/03/10

参考:一般社団法人日本COG-TR学会「認知機能強化トレーニング(COGET)