体調不良(疲労)と自律神経のバランス回復に向けた鍼治療の例
※今回の掲載は本人に了解を得ている事例であることと、個人を特定できないように施しをしております。
疲労や体調不良、自律神経バランスの乱れによる身体の症状などで困られている方は、鍼灸院を探す際の参考にしてください。
なお、今回の事例は『現在医学的鍼灸』の立場の鍼灸師が行った例でございます。

20代・女性
コロナの影響で、コロナ騒ぎが収まった後も仕事が在宅の状態が続いていて、一人で仕事をしていてわからないところがあっても聞けずまた、しゃべる相手もいない中でずっと仕事をしていることで、疲労感を強く感じるようになってきていた。
約6か月前からは、全身の倦怠感や目の疲れ、不眠、首から肩にかけての懲りがひどくなり、パソコンに向かおうとするだけで憂鬱な気分にもなっていた。
また、眠りも浅く朝も起きることはできるが、スッキリと目覚めない状態が何日も続いていた。
睡眠不足の状態が続き、仕事中に眠気を催したりして集中力できなくなってきたために1か月前に自宅近くの内科を受診。
睡眠剤を処方される。
以前に比べて眠れるようにはなってきているが、まだ眠りが浅くスッキリとは起きれない状況と倦怠感や首から肩の凝りは相変わらず続いている。
もう少しよくなるために何かできないかとネットを検索していたところ、ストレス疾患と自律神経疾患が専門という当ルームのホームページを見つけて来室される。
職業:会社員
性格:真面目、神経質、内向的、意志が弱い
既往歴(過去に大きな病気をした経験):重篤な病気や入院・手術はしたこともない。
たばこ:吸わない
お酒:たまに飲む程度
趣味:映画鑑賞
家族:父親・母親・弟
家族関係は良好
当ルームでの検査結果
自律神経機能を評価する検査機器(当ルームでの写真)

測定時間は5分間
椅子に座った状態で2分(安静)⇒立ち上がって2分(起立から立位)⇒座って1分
安静時のバランスと体位を変えたときの機能を評価する。
検査結果
きりつ名人(血圧・心拍変動解析ソフトmeijin )・自律神経の状態:安静時交感神経緊張型/交感神経反応過剰型(起立時の反応)
下記の結果は、お渡ししている結果の一部を拡大したものです。

CMI健康調査票の結果:領域Ⅲ(どちらかといえば神経症の可能性が強い)
個別で高得点項目:身体的自覚症では疲労度と習慣/精神的自覚症では不適応と不安、緊張
※CMI健康調査票は身体的自覚症(12系統別)と精神的自覚症(6状態別)を把握と、そこから神経症(ストレスによって精神が疲弊した状態)かどうかの確認をする質問紙の検査
施術の方針と施術の内容
方針:自律神経のバランスの回復と身体の疲労と目の疲労の緩和-抗重力筋の緩和と脳血流の回復-
抗重力筋(姿勢筋ともいわれる)とは、地球の重力に対して姿勢を保持するために働く筋肉。
立っているだけ・座っているだけでも常にどこかが緊張しています。最も疲労しやすく収縮したままになりやすい筋肉といえます。
なので、ストレスなどで緊張状態(交感神経の過緊張)が続くと姿勢が悪くなりまた、その姿勢を記憶して身体の歪みを作り筋の緊張状態を作ってしまう。
1、背部の過緊張を起こしている抗重力筋を緩和
対象の筋肉:僧帽筋/肩甲挙筋/棘上筋/棘下筋/など
目的は副交感神経の働きを促す。
※自律神経のバランスを回復するために、ここが重要
研究等でわかっていることで、抗重力筋を緩めることで副交感神経を働かすことで交感神経の緊張を抑えることができる。
施術の内容
背部へ置鍼(20分程度)
僧帽筋/肩甲挙筋/棘上筋/棘下筋/
※置鍼とは、鍼を刺入した状態で置いておくこと。
2、表情筋の緩和(抗重力筋)
女性の方にはよく使用します。
目的は副交感神経の働きを促す。
※自律神経のバランスが回復後も、歯ぎしりが続く場合は咀嚼筋に鍼治療を行う。
施術の内容
表情筋へ置鍼(20分程度)
3、後頭下筋群(頭と首の境)の筋緊張緩和
施術の内容
後頭下筋群に置鍼(20分程度)
4、疲労状態では脳の血流量が低下しているために脳血流の改善。
主に前頭前野
※多くの研究でわかってきております。
施術の内容
①脳血流改善を目的に、四肢末端への鍼治療プラス低周波鍼通電(20分程度)
②頭のてっぺん付近(ツボ名は百会<ひゃくえ>)と眉間(ツボ名は印堂<いんどう>)に鍼治療プラス低周波鍼通電(20分程度)
※おでこの髪の毛の生え際の左右(ツボ名は頭維<ずい>)に刺入して行う場合もあります。
5、ホームワーク(自宅で行ってもらうこと):漸進的筋弛緩法の簡易バージョン(やり方のプリントを用いて指導)とウォーキングなどの運動療法を用いる。
※漸進的筋弛緩法とは、筋肉のある部位に8割程度の力を10秒間入れたのち、力を20秒から40秒間抜いて脱力状態を作る。
鍼刺激で脳の血流量変化が起こるのかの研究
精神科医の協力のもと約1年6カ月研究をしてきました。
結果としては、変化は起きることがわかりました。
(以下写真はその時のもの、掲載許可済み)

初診時
現在の困りごとを伺った後、現在の自律神経の状態を確認するために『きりつ名人』を行う。
次に、症状や状態の説明を生物-心理-社会モデルで説明を行った後に上記の内容の鍼施術を行った。
表情筋への置鍼は、咬筋とした。
ホームワークとしては、漸進的筋弛緩法を毎日と美顔ローラーをお持ちだったために、抗重力の場所を伝え毎日に行っていただくこととした。
第2セッション以降
前回の施術後の確認。
鍼当たりがあったかどうかなどネガティブな要因とポジティブな変化があったかの確認を行う。
以後、2セッション~15セッション(8セッション以降は頻度は隔週とした)の終了まで鍼施術内容に変化はない。
注意
毎回施術前には、患者さんの考え方や物事の捉え方の修正を行うために、会話の中に認知修正のアドバイスを含めて行っている。
ホームワークについては、第5セッション以降、ウォーキング(早歩き・日に20分を週3日~5日)を追加している。
きりつ名人について6セッションと15セッションで行っている。
6セッション時:安静時健常型/交感神経過剰反応型
15セッション時:安静時健常型/健常型
施術回数:15回
頻度:週1回~終盤は隔週1回
期間:約6カ月
自律神経の症状の出方は人によって様々です。
自律神経失調症など自律神経の問題に関係する症状は、人によって症状の出るところは様々です。
また、症状は一か所だけとは限らず、3か所とか5か所とか身体の複数の箇所に症状が出る場合もあります。
ただ、それは自律神経のバランスが崩れている結果であることは一致しています。
頭・目・耳・口・喉:頭痛、頭重感、耳鳴り、口の渇き、味覚の異常、疲れ目、なみだ目、喉の異物感、喉が詰まる
循環器系:動悸、胸部圧迫感、めまい、立ちくらみ、のぼせ、血圧異常
呼吸器系:息苦しい、息が詰まる感じ、息切れ、酸欠感
消化器系:食道のつかえ、吐き気、腹部膨満感、下腹部の張り、胃の不快感
泌尿器・生殖器系:頻尿、残尿感、勃起不全、早漏、射精障害、生理不順、外陰部のかゆみ
筋・骨格系:肩こり、筋肉・関節の痛み、手・足:手足のしびれ、手足の痛み、手足の冷え、ふらつき
精神・心理:不安、恐怖、イライラ、落ち込み、怒りっぽい、集中できない、やる気が出ない、些細なことが気になる、悲しくなる、眠れない、倦怠感、食欲がない
何となく不調かなと思われたら当ルームにお越しください。
当ルームの鍼灸治療ページ
鍼灸治療:ストレス疾患と自律神経関連疾患が専門(関連疾患・不妊症と筋肉の痛み)
★心理師と現在医学的鍼灸が専門の鍼灸師の視点で、はり治療と心療鍼灸(はり治療と認知行動療法の併用)を行っております。


