ストレスによる自律神経の乱れや抑うつ状態など心身の症状への鍼灸治療

目次
はじめに
心身の状態を確認するためのツール
各レベルと鍼治療または認知行動療法の選択-あなたの心身の状態はどのレベル-
1,予防レベル
2,急性期レベル(前期・後期):鍼の効果が一番発揮する時期
3,急性期が延長し、慢性的な状態となったレベル
4,長期慢性的な状態レベル(前期・後期)
鍼治療や心療鍼灸をご希望の方へ
●鍼灸治療:ストレス疾患と自律神経関連疾患が専門(関連疾患・不妊症と筋肉の痛み)
はじめに
抑うつ状態や自律神経の乱れ(自律神経の偏り)、脳や身体の疲労や疲労感、睡眠障害などは、仕事や対人関係、家庭生活、自分に対してマイナスな考えなどのストレスが原因であることが多い。
問題や症状の始まりの多くは、ストレスによって自律神経やホルモンのバランスが崩れ、免疫機能が落ち、それが脳や身体に影響を及ぼして、うつ病や心身症などのストレス疾患や自律神経関連疾患を生んでいます。
ストレス状態や疲労状態は、解消されないままでいると、眠っても疲労が解消しない、そもそもうまく眠れないなど状態が続き慢性的な疲労状態やうつ病などを引き起こしてしまいます。
これらのストレスは、脳で処理されて、自律神経系、内分泌系、免疫系、運動系のネットワークを介して全身に様々な反応を起こします。

ストレスに対しての反応
ストレスがかかると、交感神経が反応した場合には、闘争(闘うか)か逃避(逃げる)反応が起こります。また、副交感神経が反応した場合には、諦め(対象がいなくなるのを待つ)という反応が起こります。
これが一時的であれば、
生理的な疲れとして、一晩ぐっすりと眠ったり、数日間ゆっくりと過ごせば元気が戻ります。このように、睡眠や休息で回復するのは普通の疲れと考えます。
自律神経がバランスをとって回復を助けたり、セルフコントロールの例としては考え方をポジティブしたりすることで解消できている段階です。
回復や解消しないままでいると、
自律神経がうまくバランスが取れなくなり、考え方もネガティブになってきたりすることで、人によって症状が出るところに違いはありますが心身に症状が現れます。
また、睡眠が浅くなったり、寝付けなかったりと睡眠がうまくとれなくなることで問題や症状がより強く生じてきます。
この状態を我慢してそのままにしておくと、心身症やうつ病、パニック症などの不安症、脳の極度疲労、脳血管系の疾患や心疾患など精神疾患や身体疾患の重症化する場合がございます。
心身の状態を確認するためのツール
労働者の『疲労蓄積度』と『ストレスチェック』
厚生労働省では、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』のサイトで、労働者の『疲労蓄積度』と『ストレスチェック』のテスト公開しております。
★疲労蓄積度では、『自覚症状』『勤務状況』で判断できるようになっております。
★ストレスチェックでは、『ストレスの原因因子』『ストレスによる心身反応』『ストレス反応への影響因子』のチャートで視覚的に見ることができる。
また、それぞれにアドバイスがあり、印刷やPDFでの保存もできる。
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』
サイト内の『よく見られているコンテンツ』の中にございます。
★5分でできる職場のストレスセルフチェック
★疲労蓄積度セルフチェック2023(働く方用)
★疲労蓄積度セルフチェック2023(家族支援用)
『心理検査』
CMI健康調査票(Cornell Medical Index-Health Questionnaire)
身体と精神の健康状態を測定する質問紙検査で、身体12系統別、精神6状態別に構成されており、身体状態と精神状態の自覚症状把握するために用いています。
必要に応じて、うつ病や不安症などのテストも使用している。
テスト:簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)PDF版(厚生労働省)
『自律神経測定機器』
自律神経の状態を把握するために、血圧・心拍変動解析ソフトmeijin:きりつ名人やパルスオキシメーターなどの機器を使用している。自律神経の状態やストレス耐性、健康状態を視覚化し客観的に把握できる。

鍼灸治療はどういうときに受けるのがいいのか。
皆さんは、鍼灸治療はどういうときに受けたいと思われていますか。
結論から述べると鍼治療は、『症状が始まった早い段階(急性期レベル)』か『クリニックでのお薬を飲んでいる方のサポート』、『お薬などで回復してきたが、まだ少し症状が残っている場合』、『予防の手段として』と大きくはこの4つの段階であれば有効な場合が多い。
慢性の状態(目安6か月以上続いている状態)には有効ではないのか。
症状が慢性の状態になってしまっていたり、クリニックでの治療や他の方法をいろいろ試したが一向によくならない場合に、鍼灸治療だともしかしたらよくなるのではないかと思われてはいないでしょうか。
これらの状態に対する、鍼灸治療のエビデンス(科学的根拠や臨床研究結果)はないので、現時点では効果はないと考えていいと思います。
各レベルと鍼治療または認知行動療法の選択
ここでは便宜上、『1,予防レベル』、『2,急性期レベル(前期・後期)』、『3,急性期が延長し、慢性的な状態となったレベル』、『4,長期慢性的な状態レベル(前期・後期)』の4つの枠組みで、鍼治療と認知行動療法をどのように使い分けているのかを説明したいと思います。
なお、灸に関するエビデンスがほとんどないために、ここからは『鍼治療』のみについて書いていきます。
次に、認知行動療法の説明はここでは省かせていただいています。下記のページを参照ください。
★認知療法・認知行動療法
1,予防レベル
ストレス疾患などメンタルな問題に対して、クリニックでの薬物療法や鍼治療、認知行動療法を受けていて、その問題が解決した方がその後も継続して1か月~2か月に1回程度の鍼治療を希望されることがあります。
ただ、鍼の効果が1カ月も持続することはないので、鍼による身体のリフレッシュや疲れのリセットと、その結果起きる考え方の切り替えを目的に来ている方がほとんどだと思います。
例えば、うつ病患者さんで問題が解決した後、その後も月1回ペースで予防を目的に、鍼治療をすでに5年継続されている方もおられます。
2,急性期レベル(前期・後期):鍼の効果が一番発揮する時期
鍼の効果が一番発揮するのが、急性期であろうと考えています。
急性期の中でも症状が出始めて早い時期に来られた場合(前期)と、少し時間(目安1カ月~2カ月)がかかってから来られた場合(後期)で分けて説明します。
(前期)
該当する方というのは、ストレスを多少感じていて調子にも波があるが、それほど大きな振れ幅の波ではない。ストレスを解消できている時もあるような状態である。
また、睡眠は週に1日程度うまく眠れない日があったりなかったり。物事に対する捉え方や考え方も「ネガティブな考えにとらわれる時もあれば、そうでない時の方が日数的に多い」状態
(後期)
後期は、うまく眠れない日が増えつつあったり、ネガティブな思考の頻度が多くなっている状態のことをいいます。
ストレスがあることはわかっていて、1週間の半数以上は調子が悪い状態になり始めている。言動的には、「最近ストレスが多くて」とか「胃が痛かったので内科を受診したら『ストレスだね』と言われた」「何となく憂鬱になる日が続いている」などを述べる。
(ここでの治療方法)
前期・後期ともに、鍼治療を中心に進める。
ただし、前期の人には、ホームワークで呼吸法や趣味など、ストレス時に切り替え、解消できる方法を課題にすることが多い。
次に後期の人には、ホームワークで漸進的筋弛緩法(筋肉を用いたリラクセーションの一種)をやってもらったり、(運動嫌いでない限り)運動療法として有酸素運動やヨガ、ピラティスなど、有効性が明らかになっている方法をアドバイスしている。
後期の人は、鍼治療での身体状態の変化から、ネガティブな考え方が変化する場合もあればしない場合もある人たちである。なので、身体状態の変化で考え方に変化がない場合は認知行動療法の併用療法を行っている。
鍼治療の間隔は、前期、後期ともに基本週1~2回としている。
※当ルームでは鍼治療と認知行動療法を併用して行う方法を『心療鍼灸』と呼んでいます。
3,急性期が延長し、慢性的な状態となったレベル
これは、例えば、タクシーやバスの運転手、一日中パソコンを使用する方など、同じ姿勢で同じ動作を一日中行う職業従事者の身体のストレス状態のことをいいます。
慢性的な腰痛や肩こり、眼精疲労は代表的な症状である。
なお、痛みや疲労の辛さに対して、悲観的に捉えてはいない状態。例えば、「このまま痛みが続いたら、仕事が出来なくなる」や「この先、立てなくなってしまうかもしれない」等
この状態では、基本的に鍼治療とホームワークでサポートしていきます。また、毎日のセルフケアが必要となる状態なので、鍼治療が毎日行えればいいが非現実的なことなので、鍼治療は週1回~2回と日々の仕事上でのスケジュール管理と動的ストレッチなどのセルフケアが重要です。
例えば、トッププロなどのアスリートはトレーニングと試合で身体を酷使しているために、その日の終了後にはトレーナーからケアを受けています。
同じ姿勢で同じ動作を一日中行う職業に就かれている人は、それと同じでそれだけ身体を酷使していることになるので、毎日のケアが必要になります。
4,長期慢性的な状態レベル(前期・後期)
長期慢性的な状態とは、症状が出始めて一定以上(目安6か月以上)経過している状態のことをいいます。
また、クリニック等で薬物療法を受けている方がほとんどです。
(前期)
うつ病や心身症などの疾患で、精神科や心療内科に通院開始して1か月~3カ月以内の場合を指している。
例えば、ある日突然うつ病になることは少なく、時間経過とともにだんだん調子を崩していき、精神科を受診するまでに3~6か月、またはそれ以上経過していることもよくある。このような場合を、ここでは『慢性的な状態・前期』と考えています。
さて、このような方の場合、まず鍼治療単独で行える状態か、鍼治療と認知行動療法を併用(心療鍼灸)する必要があるのかの判断をします。
ただ、当初はわからないので鍼治療単独で数回行ってみて、それでも変化がないようであれば、認知行動療法などエビデンスのある心理療法を併用するようにしてします。
(後期)
慢性的な状態・前期からいっそう時間経過が経った状態をいいます。
・ 薬物治療を1年以上行ってもあまり変化や効果がない状態。
・ 1年以内に再発を3回以上(2回の場合も)繰り返している。
・ 服薬を継続しながら、その他にも様々な方法を1年以上試したがよくならない。
・ 子供時から何度かうつ病や他の精神疾患の再発を繰り返している。
このように1年以上に渡って行っているお薬の効果が限定的ならば、認知行動療法が次の選択肢ではないかと考えます。
このような方が鍼治療を申し込まれた場合。
個人的には問診後、認知モデルを用いて現状を説明し、鍼治療単独では効果的でないことを伝えるようにしています。
そして、説明を理解してもらえた方の場合には、認知行動療法で進めていくようにします。
もちろん、鍼治療も希望なら可能です。
鍼治療も希望の場合は、鍼治療と認知行動療法の併用療法(心療鍼灸)を勧めています。
ただ個人的には、ここまで慢性化した方には同じ治療時間であれば、鍼治療を加えるより認知行動療法“単独の”方が効果的でだと考えています。
鍼治療や心療鍼灸をご希望の方へ
●鍼灸治療:ストレス疾患と自律神経関連疾患が専門(関連疾患・不妊症と筋肉の痛み)
★心理師であり鍼灸師の視点で、はり治療と心療鍼灸(はり治療と認知行動療法の併用)を行っております。
ブログ:
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