心理師・千田の思考「ストレス疾患やうつ病に鍼治療は効果があるのか」

『心理師・千田の思考』というカテゴリーを新たに作りました。
ここでは私、千田の『個人的に関心のあること』や『もう一つの専門である鍼灸治療の最新情報』『毎日メールで送られてくる世界の医療・心理の最新論文等の情報で役立ちそうなもの』などについて書いてみたいと思います。



第一弾として鍼治療について書いてみたいと思います。
公認心理師の私が鍼灸師の資格を取った理由などについては、カウンセラーのページをご覧ください。



『鍼治療』や『鍼治療と認知行動療法の併用』をご希望の方は、以下のページをご参照ください。
鍼灸治療-ストレス疾患と自律神経疾患専門


以下の写真は千田が行っている『鍼灸師のための治療方法とカウンセリング(認知行動療法)勉強会』での実習場面です。


そもそも鍼治療で本当によくなるのか?

皆さんは、鍼や灸と聞くと『東洋医学(中国医学)』や『気の流れが・・・』『このツボが・・・』などをイメージするかと思いますが、実は鍼や灸の生理的反応や治療効果に関して全日本鍼灸学会や日本自律神経学会、その他の国内外の医学会などで鍼灸師や医師、生理学者たちが最新の研究発表が毎年行われております。
特に鍼治療の『エビデンス(科学的根拠)』についての研究発表が多くなされています。



現在日本で行われている代表的な鍼灸治療の理論(大きく分けて3つ)
1、東洋医学(中国医学)に基づくもの
2、経絡治療(日本で作られたもの)
3、現在医学的鍼灸(現代の医学理論(解剖学・生理学・病理学・その他)に基づいて行われる治療

現在医学的鍼灸については、鍼灸大学や医学部で鍼の生理的反応や治療効果について、科学的に証明(エビデンス<科学的根拠>)を行うために日々研究をされております。


さて、私はというと『現在医学的鍼灸』の立場で鍼治療を行っております。
専門にしているのは、『うつ病や不眠症、心身症、その他のストレス疾患』や『自律神経失調症をはじめとした自律神経関連疾患』関連領域として『不妊症』『腰痛や肩こりなどの痛み』



この分野については、いろいろ研究されています。
例えば、
1、ストレスや疲労状態では、自律神経が過度に緊張(交感神経が過剰に働いている状態)していることが研究でわかっています。また、この時には、特定の『抗重力筋』にも過度の緊張が起きることがわかっています。


それに対して、鍼治療でその筋肉の緊張を取ることができ、結果・自律神経の緊張を改善することができます。
これは、不妊症の鍼治療にも有効な方法でもあります。


抗重力筋とは、地球の重力に対して姿勢を保つためにずっと働いている筋肉ことをいいます。ただ立っていたり、座っていたりしていても常に働いている筋肉です。別名・姿勢筋とも言われています。

自律神経検査


自律神経検査機器:必要に応じて自律神経の状態を無料で確認しております。


2、うつ病の時には前頭前野の血流が低下していることがわかっています。

a、四肢末端(肘から先と膝から先)に鍼を行うことで脳血流改善することがわかっています。また、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質を促すこともわかってきております。


b、耳や眼窩上神経(ツボ名では陽白と言われる場所)、眼窩下神経(ツボ名では四白と言われる場所)、オトガイ神経(ツボ名では大迎と言われる場所)に鍼を行うことで脳血流改善することがわかっています。

うつ病に対して鍼治療効果の研究を目的に、NIRSという機器(頭に付けている機器)で脳血流量測定を千田が精神科医の協力のもと約1年6カ月研究を行いました。
研究結果は学会で発表もさせていただきました。
掲載許可済

他にも鍼による様々な生理的変化や治療効果が発表されております。


全日本鍼灸学会学術大会での発表時のものです
演題:『うつ病における鍼灸治療単独か、認知行動療法併用かの判断について』



東洋医学(経験の医学)の考え方も大切ではあるとは思いますが、私の鍼治療ではその考え方は採用しておりません。
私自身『気の流れが・・・』と言われてもよくわからない。
私の思考回路では『気って何』となってしまう。
なので、できる限り私の頭でも理解できる現在科学的研究で効果がわかっている方法を用いています。
また、ホームページなどによく宣伝で出ている、当ルームのオリジナルな方法(独自の方法)でもありません。

現在医学的鍼灸を行っている他の鍼灸師や医師と同じ鍼治療を行っております。
違うところと言えば、心理師でもあるので必要に応じて鍼治療と認知行動療法などの心理療法を併用して行うこともあるところです。

鍼治療と認知行動療法ともに効果があるのであれば、どのような違いがあるのか。

以下に例として書かせていただいた『うつ病の認知行動モデル』で説明をさせていただきます。
はじめに、人は、身体の外(対社会)や身体内(生理的変化や身体症状・状態)の状況や様々な環境に対して、『認知』や『身体』が様々な捉え方や反応をします。
その捉え方や反応が『認知』『行動』『気分』『身体化(体調・状態)』のネットワークを通じて一瞬に心身に影響を及ぼすと考えます。





1、鍼治療では、認知行動モデルでの『身体化』の部分にアプローチをすることになります。

2、認知行動療法は読んで字のごとく『認知』『行動』そして、必要があれば『スキーマ』にアプローチを行っていきます。


『スキーマ』とは、人(あなた)が蓄積してきた体験や知識の集合体のことをいいます。
もう少し簡単に言うと、固定化している考え(間違った考えや知識も含む)や【思い込み】、【先入観】【ルール(こうしないといけない等)】、【パターン化】などのことをいいます。

『スキーマ』はその瞬間に起きる『認知』『行動』に強く影響を及ぼします。



うつ病でも『身体化』を主に訴え、ネガティブな認知はあるにしてもそれほど強くない場合には、鍼治療が有効である可能性があります。
また、ネガティブな認知が強い場合には、鍼治療はあまり有効ではなく認知行動療法が第一選択となります。



それ以外の『ストレス関連疾患』や『疲労(倦怠感・脳疲労)』『自律神経関連疾患』『心身症』『不妊症』『慢性化している痛み』も同じで、『ネガティブな認知』が強くなっている場合は認知行動療法が第一選択となります。

ただ、以下の図の通り『ストレス関連疾患』や『疲労(倦怠感・脳疲労)』『自律神経関連疾患』『心身症』『不妊症』のはじまりは、自律神経のバランスの乱れから起きている『身体化』が中心だと考えるので、解決の一つの方法として鍼治療も加えてみてはいかがでしょうか。



ストレス疾患や自律神経のバランスの問題でお困りの方は、鍼灸治療のページをご覧ください。
鍼灸治療-ストレス疾患と自律神経疾専門