自閉スペクトラム症の二次障害の不登校の例・パート2

パート1からの続き、ACAT(エーキャット)というASDに特化した認知行動療法の進め方。

ACATの進め方を簡単に説明すると

前回パート1の説明から

1、自分の特性を明らかにする。
  その「強み」と「弱み」を理解する。

2、認知行動療法にASDの特性を加えた認知行動モデルという説明方法をまずは理解していただく。
  状況-認知-気分-行動-身体化と「ASDの特徴」を書き加えて理解を進めてまいります。

3、マネジメントを学んでいきます。
  「自分でできる工夫」と「配慮や調整」を考え行動に移していく。

ACATという認知行動療法の流れ

1、自分の特性を明らかにする。 その「強み」と「弱み」を理解する。

例えば、
同じように脳の特性から起こっている「左利き」これは誰が見てる「左利き」であることが「見る」ことで理解できます。
なので、家族の者はごはんを用意するときに、右利きの人には、左に箸置きを置いて右側に持つところが来るようにしていると思います。また、左利きの人には、右に箸置きを置いて左に持つところが来るように置きます。

ではASDの場合は、本人にも違和感があっても人との違いが見えないし、家族・先生・クラスメイト、社会人であれば同僚・上司・部下にも見えない。
だから、周りは定型発達の方と思っているのでそのように接するが、本人はとても違和感を感じていることになります。
だからまずはじっくりと生い立ちやテスト結果などを用いて「自分の特性」を理解することから始めます。
中学生などでは本人と親、心理師の3者で理解していく作業を行います。
成人の場合は、本人だけの場合とご結婚されていれば夫(妻)とともに理解する作業を行います。
重要なことは「特性を書き出すこと」
書き出すことで視覚化できるので客観的に特性を理解することができます。
左利き同様に特性を「見る」ことができます。

いくつかの特性を理解できたら、特性の「強み」と「弱み」を理解していきます。
この特性を理解する作業はとても大切で、相談回数を3回から8回ぐらい(人によっては増やす場合もあります)かけて行ってまいります。

2、認知行動療法にASDの特性を加えた認知行動モデルをまずは理解していただく。

状況-認知-気分-行動-身体化と「ASDの特性」を書き加えて理解を進めてまいります。
認知行動療法の考え方の一つとして、下記の図・認知モデル(以後、認知行動モデルと表記)自分の置かれている状況や環境に対しての「捉え方・認知」が「気分」や「行動」「身体化」に影響を及ぼすという考え方をします。
これは定型発達でうつ病や適応障害、不安障害(パニック障害等)、対人関係問題で悩んでいる方などに、本人と心理師や治療者が現在の問題を「認知行動モデルの状況(環境)-認知-気分-行動-身体化」に当てはめて理解していくモデルでございます。
相談場面では、以下の図をホワイトボード等を用いて、状況-認知-気分-行動-身体化の各項目のところに相談者の具体的な内容を書き込んで説明・共有いたします。

ASDの場合は、

上記のモデルに「ASDの特徴」を書き加えた下記の認知行動モデルを用いて、本人や親、夫(妻)と心理師や治療者が同じくホワイトボード等を用いてそれぞれの項目のところに具体的な内容を書き込んで説明・共有いたします。

ACAT・認知行動モデル

3、マネジメントを学んでいきます。

ACATの認知的・行動的介入(修正方法)には2つのアプローチがあります。
一つは 「自分でできる工夫」
二つ目は「配慮や調整」

自分でできる工夫とは

心理的不適応の背景にある自分の「ASDの特性」を理解し、その「ASDの特性」を踏まえたうえで「どのように考えて」「どのように行動すれば」この不適応を減らせるかという計画を立て実行することをいいます。
自分の苦手なこと(例えば、休み時間に人といること等)に対して、自分に優しい行動のアイデアを出して、そのアイデアに沿って自分の行動を意図的に変えてみる。
そうすることで、社会的不適応が解消され、心理的不適応の解消されることを狙っています。
自分がある状況で必要な行動がうまく取れることで、自分の可能性を信じることができるようになっていきます。

心理的不適応とは、自分に対しての自信や何をするにも不安になったり、心配したり、困ったりしている状態のこと。
社会的不適応とは、普段の生活の中で困ったことが起きている。(家庭や学校、職場、人付き合い、その他の生活場面)

配慮や調整とは

周りの人に配慮していただくことをいいます。正しい言い方は「合理的配慮」といいます。
障害をお持ちの人が、障害のない人となるべく同じように保障されるとともに、教育や就業、その他の社会生活において平等に参加できるよう、それぞれの障害特性や困りごとに合わせて行われる配慮のことです。
例えば、「ASDの特性」で音に敏感(聴覚過敏)な子供がいるとします。
この場合、学校の先生にノイズキャンセリングイヤホン等の使用をお願いをして、使用許可をしてもらうことが合理的配慮ということになります。
このように、周りの人に合理的配慮を得てもいいことを知り、それを周囲の人に頼むことができることを知っておいてほしい。

ACATを用いた相談では

はじめに自分の「ASDの特性」をしっかりと理解して、その強み・弱みを知って、あなたの不適応を感じているパターンを認知行動モデルで理解する。
不適応を感じているパターンに対して「自分でできる工夫」と「配慮と調整」を用いて、心理的不適応と社会的不適応の解消を目指します。

リスタでは、ASDでお困りの方に対して、ACATを以下の場合にも用いております。
1、中学生以上成人の方の個人の認知行動療法
2、中学生~高校生までの親子での認知行動療法
3、夫婦を対象にした認知行動療法
  カサンドラ症候群の対応も含む

参考文献:
大島郁葉・桑原斉 著 『ASDに気づいてケアするCBT-ACAT実践ガイド-』
株式会社金剛出版 2020/10/10

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