日本ADHD学会に出席して(一般の方への情報)

悩まれているお父さん・お母さんやご本人の参考になればと思っています。

不登校の問題では、2021年度は不登校数244,940人、前年より4.9万人増加、小学生の1.3%、中学生の5.0%、高校生の1.7%

不登校のきっかけ要因(小・中学生の割合)
『無気力・不安:49.7%』
『生活リズムの乱れ,あそび,非行:11.7%』
『いじめを除く友人関係をめぐる問題:9.7%』
『親子の関わり方:8.0%』
『学業の不振:5.2%』


令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果、文部科学省


獨協医科大学埼玉医療センター子どものこころ診療センターの作田先生の発表で、2022年1月~12月の不登校歴のある患者さんで神経発達症の併存をされている方の検討されており、『自閉スペクトラム症(ASD)』と『ADHDとASDの併存』が多い傾向にあった。『ADHDのみ』は2つに比べて少ない傾向にあった。


次に
行動療法的ペアレントトレーニング(Behavioral parent training:BPT)について、ADHDの心理社会的治療(サポートや相談)の中で、幼児期~学童期において国際的にもっとも行われ推奨されている方法である。
親に対して行うトレーニングで、子供の行動に焦点を当て『好ましい行動を増やすための方法』と『好ましくない行動を取り去る方法』など適切な指示の出し方を学ぶ。
回数は、1週間から2週間のペースで、10回から12回程度学ぶ。
集団で学ぶ方法と個人で学ぶ方法があり、効果はどちらで学んでも効果は変わらない。



リスタでは、現在は日時の融通が利く個人レッスンのみを行っている。


千田も確かにと思ったのは、福井大学医学部精神医学の小坂浩隆先生のお話で、成人期になってはじめて診断できる場合もあるのか。
テスト(ADHDやASDなどの判定に使用)やDSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版/医師が診断の時に使用)などで『明らかに定型発達児』と『明らかにADHD』、『ADHDと診断がつかないが傾向を持ち合わせている児童』がいる。



DSM-5では、ADHDに関する項目が6つ以上あればADHDとなるが、たぶん問題になるのは4つとか特性があるが診断がつかない場合である。
幼児期・児童期にADHDと診断された方は、心理社会的治療(サポートや相談)や薬物療法などで、明らかに成人期にはADHDと診断基準を満たさない方が多くなっている。
ただ、児童期にはADHDの診断がつかないが、特性が3つとか4つとかあった子供が成人期にADHDの診断(二次障害の問題もある)をされる方が多くおられる。



これはADHDの特性はもっているが、その時期には目立たなかったということで、親や先生を含めて周りが心理社会的サポートを特に注意して行わなかったために起きている可能性がある。

なので、『ADHDと診断がつかないが傾向を持ち合わせている児童』に対しては、親は行動療法的ペアレントトレーニングなどを受講して対応方法を学んで実践していけば成人期にADHDの診断がつくことがないかもしれない。

ADHDは特性なので治るということではなく、心理社会的治療
(ADHDに特化した認知行動療法や親の行動療法的ペアレントトレーニングなど)や薬物療法などで目立たなくなっているということです。


また(以下の図を参照)、小学生の時期というのはADHDの中核症状がメインとなっているが、中学生以上になると社会的なかかわりが多くなり周辺症状や二次障害が問題になりはじめる。
成人になるとまず相談の目的が二次症状の場合が多くなり、よく話を聞いていくとADHDである場合が多くなる。

訂正:図の成人の二次障害のところに不登校となっていますが、正しくは『適応障害』です。

これは、ADHDだけではなくASDにも言えることであろうと考える。

ADHDの中核症状と二次障害


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