セックス問題(セックスレスを含む)と神経発達症(発達障害)


二人の間で問題が生じていれば早めに相談に行きましょう。
タイトルをセックス問題とさせていただいたのは、問題はセックスレスだけでなく、依存症や様々な性犯罪などの問題もあるのでこのようにしました。


『セックスをしていて夫から全く感情が感じられない』
まるでマスターベーションでもしているかのように、単に腰だけを動かし自分だけ満足すれば(射精すれば)終わってとっとと寝る。そのようなセックスが1週間に何度も求められたりして苦痛を感じる。
とか、

『妻とセックスをしていて』
まるで人形とでもしているかのようで、反応がない中でセックスをしていてむなしいと訴える夫。

これ以外にも、問題にとなっているいろいろなパターンがあるとは思います。(実際の相談ではいろいろあります)

もちろん、このような状態がすべて神経発達症(発達障害)が原因というわけではありません。
単にセックスについての知識や経験がないため、どうしていいのかわからずいつも緊張してセックスをしていることで、このような状態になってしまっている場合もあります。
そのような場合は、男性性・女性性の違いやセックスについての正しい知識を知ることで問題は改善していきます。


それ以外にも、パーソナリティー障害の影響で問題が生じている場合もあります。
パーソナリティー障害の場合は、問題解決までに年単位のカウンセリングが必要になるケースが多いです。
ずいぶん前ですが、以下のタイトル(千田の相談ケースとして)で分担執筆しました。


タイトル:セックス・セラピーを求めてきた夫が不安性(回避性)パーソナリティ障害の一症例
井上和臣編著 パーソナリティ障害の認知療法--ケースから学ぶ臨床の実際
岩崎学術出版社,東京;p.181-195,2011



さて、夫(妻)が特に自閉スペクトラム症(以後、ASDと記載)や注意欠如・多動症(以後、ADHDと記載)の場合、その特性からの反応である場合。
夫(妻)のASDやADHDの特性をお互いにまずは理解して、そのうえで本人のコントロール(セルフマネジメント)する方法を学ぶのとパートナーがその特性を理解して、ASDやADHDの特性を持ちながらも相手のことも考えたやり方などをお互いに学習していく必要があります。
なお、ASDやADHDの特性がなくなることはありません。


ASDやADHDの問題は、結婚前には気づかなかったけど、結婚後一緒に過ごすようになるとコミュニケーションがかみ合わなかったり、情緒的な部分が理解してもらえないことなどがわかる。
また、未完成婚の場合などでは、今回書かせていただいているように、結婚後にセックスをしてみて情緒的なところが苦手であることがわかったり、セックスの回数や方法などにこだわりがあるなどの特性によってセックスの問題が浮き彫りになったりします。


この場合、本人もパートナーも当初は気づいていなかったが、この問題で本人を含めてパートナーや相方が実は夫(妻)はASDやADHDなんだということに気づいたりします。
(ASDやADHDの診断はつかないが、その特性があるという方を含めると10人に1人いるといわれております)
また、結婚前から夫(妻)がASDやADHDであることを知っていて結婚したが、実際結婚生活が始まるとこんなことになるとは思わなかったなど、予想を超えた問題に発展してしまう場合もございます。
(もちろん問題なく良い関係を築かれているご夫婦もたくさんおられます)

結婚前から夫(妻)がASDやADHDであることを知らなかった場合でも知っている場合でも、関係性が修復できない場合は残念ではあれますが、離婚ということになってしまいます。

さて、セックスの問題の場合は、セックスカウンセリング/セックスセラピーを行うのですが、通常のセックスカウンセリング/セックスセラピーではなく、夫(妻)のASDやADHDの特性を明らかにして、そのうえで本人及びパートナーがどのような方法がとれるのかを検討していくことになります。
ASDやADHDの特性を理解した上でのセックスカウンセリング/セックスセラピーになります。

また、セックスだけの問題ではなく、普段の夫婦関係が問題になっている場合も多々あります。
ASDやADHDの夫(妻)の相談は夫婦関係問題で来られる夫婦・カップルの方が圧倒的に多いです。
(性生活にも問題はあるが、普段のコミュニケーションや日常の関係性がうまくコントロールすることが先決であると考えていて、それが解決してからセックス問題に移るという感じになります)


その場合は、夫婦で夫(妻)のASDやADHDの特性を明らかにしてマネジメントの方法など、ASDやADHDに特化した認知行動療法を夫婦で行っていくことになります。

認知行動モデル



ASDやADHDの特性を明らかにすることで、対処行動を考え問題解決してセックスを含めたより良い夫婦生活をされているご夫婦もたくさんおられます。


早めに専門機関を探されて相談に行ってください。
ASDやADHDなどの神経発達症の認知行動療法と性問題に対するセックスカウンセリング/セックスセラピーセックスセラピーの両方を行える専門の相談機関は少ないと思いますが、あきらめずにネットなどで検索して探して相談に行ってください。

また、性問題は問題がないが夫婦の関係性(コミュニケーションなど)に問題がある場合は、神経発達症の夫婦・家族療法が行える相談機関に行かれるといいと思います。

当ルームでも対面とオンラインで相談を行っております。
相談をご希望の方はご連絡をください。

『セックスレスと性生活問題の相談とカウンセリング・ページ』もご参照ください。


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