性犯罪の加害者で、認知行動療法を受けている様々なタイプの方。

文書内の事例は、個人が特定できないように趣旨を変えない程度に改変していることをご理解ください。

当ルームには、一般的な家庭(相談が必要なほどの問題がないという意味)で育っている子供や、会社や官公庁、学校などの教育機関、医療・福祉機関に勤めている大人の方など、家庭的にも社会的にも目立った問題がない方が痴漢や盗撮(性的姿態等撮影罪)、不同意わいせつ罪、不同意性交罪、その他の性犯罪や性暴力を行った多くの方が相談に来られております。


ただ、今回は、それ以外の方で20数年間にわたって性犯罪加害者のカウンセリングを行っていて、毎年何人かは相談に来られている子供や大人の方について書いてみたいと思います。


その前に、よく性欲のことが話題になったり問題視されるので、はじめにそのことについて書いてみたいと思います。




目次
1、性欲のことがよく問題視されますが、本当に性欲の問題なのか。
2、軽度知的発達症(軽度知的障害)や境界知能(IQ70~85未満)の子供と大人
3、トップ校や進学校に通っている小学生、中学生、高校生の子供達
4、社交不安症の問題を抱えている子供や大人


性欲のことがよく問題視されますが、本当に性欲の問題なのか。

思春期以降の子供や大人については、特別性欲が強い人だから性犯罪をするということはあまりないかと思います。
もちろん相談に来られた中には、性欲が強い方(強いと言っている方)もおられますが、どちらかというと少数派です。
例えば、マスターベーションを週3日とか毎日しているというのは普通の性欲です。なので、毎日マスターペションをして、週2日盗撮をしていました。というのは性欲としては普通です。


また、誤解を恐れずに言うと、思春期以降の多くの男性は普通に性欲が起こりはじめます。
その性欲発散のために性犯罪を行うことと、AVを見ながら性欲発散することは、性的興奮や感覚としては同じであろうと考える。
だから、そもそも性欲があるのが前提だから、性犯罪の理由を性欲だけに焦点を当てすぎてしまうと本当の問題がわからなくなってしまうことがあります。



では、問題はどこ。
問題は、性欲が問題というより、性の嗜好性や倫理観の脆弱や欠如、麻痺するほどの認知(思考)が問題であることが多い。
男性であれば、AVを見ながらマスターベーションをすることが多いと思いますが、いろいろなAVを見てその中に痴漢物もあるというレベルでは問題ではないが、痴漢物、盗撮物、DVものなど、どれかに偏ったAVだけに性的興奮を覚えるようになり、より強い刺激を求めるようになるのは危険なサインではあります。


例えば、偏ったAVだけを見ているだけでは、理性という壁がブロックしてくれるので行動に移さないでいられますが、強いストレスや過度な妄想をコントロールできなくなってしまったり、その他にも加害行為につながる認知や出来事によって、いくつかのブロックされている壁を乗り越える条件が整ってしまった時に行動に移してしまいます。

また、中学生や高校生(中には小学生の高学年)では、個人差はありますが前頭前野という脳の前側が発達途上のため感情(情動)や行動などをうまくコントロールできなかったりします。(自制が効かない)
そのため、AV(18歳未満)は見てはいけないが見ていたりするので、そこに強い興味を持ち何らかのきっかけで自制が効かなくなって、盗撮や痴漢、不同意性交までしてしまうことがあります。
ここに関しては、被害者や加害者を生まないためにも、文部科学省がもう少し突っ込んだ性教育(セックスもきちんと指導するなど)を小学生の低学年から高校生まで継続したプログラムなどで行っていただきたいと思っています。
ただ、私が行っている横浜認知行動療法研究会のメンバーからは、セックスについてなど具体的な性教育に反対する親が一定数いると思うので、それは難しいのではないか。という意見が出ている。



ゲーム感覚に近くなってきていませんか。
はじまりは、性的興味であったり、ストレス発散のつもりが性的興奮から興味になったり、また、ある時満員電車で女性のお尻にこの時はたまたま触れたときに、頭に電気が走ったような性的興奮を感じ、そこから興味を持ってしまってやるようになったり、その他にも人それぞれの始まりがあるとは思います。
ただ、同じような興奮が続くのかというと、ある時からはゲーム感覚のようになったり、仕事や学校に行くのと同じような習慣化したり、以前のような興奮も興味もなく、盗撮であれば撮れたか取れなかったかのゲーム、痴漢であれば触れた触れなかったのゲームのようになってきてはいないでしょうか。
そして、このころになるとやめたいが自分の力だけではやめられなくなっている。

これが依存状態(依存症)になっているということです。

前頭前野は、思考、判断、計画、感情の調整など高度な認知機能を司る重要な領域です。20歳ぐらいでピークを迎えて25歳ぐらいまで成長すると言われています。

横浜認知行動療法研究会とは、2004年よりスタートした医師や公認心理師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、教諭、その他の国家資格者が月1回集まって行っている勉強会。


性欲の話をしたので、少し話が横道にそれますが書いてみたいと思います。
私自身は、セックスカウンセリング(夫婦・カップルのセックスレスなどの性生活問題や個人の性問題)も専門療法の一つとして行っておりますが、2026年1月に進行ん又は結婚予定の男性の性的機能の評価と生殖機能の現状を把握する目的の研究結果が、順天堂大学浦安病院泌尿器科の谷口歩氏らの研究が発表されている。


そこには、子どもを強く望むこの世代の男性の中でも、約5人に1人(19.3%)がすでに性機能障害(ED(勃起不全):12.2%/射精機能障害:9.1%/性欲低下:4.9%)を経験していると書かれています。また、驚きとして述べられているのは、9.1%男性が射精障害を訴えていることと、性的ピークを迎える年齢ですでに4.9%がすでに性欲低下を経験していることである。
このように、男性の約20%が人相手のセックスができない、しなくなっていることは、とても重大な問題ではないかと私(千田)は思っている。


より詳しくは、ブログの
『新婚や結婚予定男性のEDなど性機能障害の実態-セックスレスや未完成婚にも影響する-』をご参照ください。



話を戻します。

軽度知的発達症(軽度知的障害)や境界知能(IQ70~85未満)の子供と大人

このような子供(大人も同様)には、再犯防止のための認知行動療法を平均的なIQの人に比べて時間をかけて行うようにしています。
平均的なIQで家族関係や学校で問題ない子供(大人も)は、1年間~2年間をめどに行っていますが、軽度の知的発達症など子供(大人も)は3年間~長いと5年間以上行うこともあります。
相談ペースや相談時間は、毎週とか2週間に1回とかのペースが続くのではなく、時間経過とともに1か月に1回とか2月に1回とかの相談の間隔を伸ばしていき、また、相談時間も毎回50分間行うのではなく、30分間というように短い時間にしていきます。


どうして相談期間が長くなるのかというと、実行機能や理解力と自分でブレーキをかける力などが弱いために再犯する可能性が高いために長くしています。

少し話が変わりますが、児童相談所に行っている軽度の知的発達症や境界知能の子供の場合、児童相談所で加害防止のためのカウンセリングや、施設によっては再犯防止の集団認知行動療法を行っているところもあり、そこで6カ月~1年程度のプログラムを受けたのち継続的にカウンセリングを受けていると思います。
ただ、すべてではありませんが、小学生から中学生や中学生から高校生に変わる時期に終了する場合があるみたいなのです。
例えば、中学生の時に痴漢や撮影罪で捕まり児童相談所で中学生の間は相談に行っていたが、中学を卒業すると同時にそちらでの相談が終了し、高校生になってまた痴漢や撮影罪で捕まりその後、児童相談所で再犯防止のためのカウンセリングなり認知行動療法を受けることになる場合もあります。


私が行っている横浜認知行動療法研究会のメンバーで児童相談所に勤めている心理師も言っていますが「相談を行う心理師が絶対数足りていない」なので、数年にわたっての継続相談できない場合もあり、その結果、再犯をしてしまうことはたまにあるということ。そのような方が、弁護士の紹介で再犯後、再再犯後に当ルームに来られたり、軽度の知的発達症や境界知能(IQ75前後の方)ということで初犯の時から来られる子供や大人の方が毎年何人かおられます。

このような加害者は、理解力や性知識などの個人差が大きいために集団での再犯防止のための認知行動療法を行うことが難しい場合があります。そのような時は個別対応が必要になってきます。
なので、他機関で集団の認知行動療法のみを行っているところから紹介されて来られる方もおられます。



トップ校や進学校に通っている小学生、中学生、高校生の子供達

成績が優秀でトップ校にいる子供だから性非行や性暴力を行わないということはありません。
例えば、大人たちでも有名な国公立大学や私立大学を卒業して上場企業に勤めたり、国家公務員になられたり、また、教諭や医師、歯科医師、その他にも難関な国家資格を受かった人たちの中にも、ニュースなどでも見聞きするように性犯罪の加害行為をしてしまう方もおられます。
そのような大人にいつごろからしていますかと聞くと、中学生からとか高校生からとかお話になられる方は何人もおられます。


トップ校にいる子供が性犯罪・性暴力をした結果、相談に来られるのですが中には社会性に問題があったり、社会性の問題の一つであろうとは考えていますが、独特な考え方をしたりする子供がたまにいたりします。
例えば、盗撮(撮影罪)で補導された子供が相談来られた時に、「盗撮は自分がしたいからした、自分は盗撮を悪いことだとは思っていない。撮られた方が気づていいないのだから悪いことではない」また、「警察に補導されたことは問題があったからだと思うが、悪いことをしたとは思っていない」と言い切った子供がいました。

私は初めて聞いたときに「盗撮で警察に補導されたが、悪いことをしたとは思っていない。どういうこと?」と思ったのを記憶しています。

この子は小学4年生でスマホを持つようになり、小学5年生の時から盗撮をしていた。はじめて補導されたのは中学3年の時。そして、はじめて相談に来られ時に、上のような発言をしていました。ご両親も社会に対して独特な考えを持っているお二人でした。
この子供に対しては、まずは良い-悪いの判断基準を作ることから始め、その間に希望大学・学部に合格、そして大学2年生までの約5年間カウンセリングを行い終了しています。

終了してずいぶん年が経つので、そろそろ本人の良いニュース(研究結果)が出ないかなとは期待しています。
さて、このような独特の考えをされる子供は『本当にまれ』ではありますが、社会性に問題があるような子供は、『まれ』というわけでもなく毎年何人かいます。



社交不安症の問題を抱えている子供や大人

対人場面での緊張や視線に恐怖する人が、なぜ痴漢や盗撮をするのでしょうか。
人に知られないように行うのが痴漢であり盗撮です。
誰かにその行為を見られるかもしれないという考えはあっても、視線を浴びながら会話する必要もないので恐怖は感じないということです。


簡単な例では、盗撮をした方の発言で、人と会話することや、ましてや女の子(大人の女性の場合も)と話すことなんか怖くてできないが、女の子(大人の女性の場合も)は好きなので撮ってしまったという子供や大人、痴漢の場合も同じように女の子(成人女性の場合もある)のお尻を触ってしまったという子供や大人。


このような加害者は、再犯防止と社交不安症の問題を解決する必要があります。ただし、社交不安症があるために集団での再犯防止のための認知行動療法を行うことが出来ず個別対応が必要になってきます。
なので、他機関で集団の認知行動療法のみを行っているところから紹介されて来られる方もおられます。


社交不安症(Social Anxiety Disorder, SAD)は、他人の視線や評価を強く意識する場面で過度の緊張や恐怖を感じる病気のことをいいます。ここでいう緊張とは、社会生活に支障をきたすほど強い不安や回避行動が見られるのが特徴です。以前は『対人恐怖症』とも呼ばれていました。

性暴力や性犯罪加害者の再犯防止のための認知行動療法とカウンセリング
対象:子供から大人
軽度の知的発達症知的能力障害)及び、神経発達症の方も含む