産後うつ病のカウンセリング方法のひとつ-認知行動療法と鍼治療の方法-

産後うつ病

産後うつ病やうつ病、抑うつの症状の例

気分の症状
抑うつ気分/悲哀感/落ち込み/不安感/イライラ/その他


行動の症状
興味の喪失/集中力の低下/記憶力の低下/意欲低下/焦燥/その他


認知(思考)の問題
些細なことへのこだわり/悲観的な考え方/自責感/自殺念慮/自殺企図 /その他


身体の症状
全身倦怠感/易疲労性/不眠/食欲低下/性欲減退/頭痛/頭重/肩こり/口渇/動悸/咽喉頭異常感/胃部不快/頻尿/その他



認知行動療法とは
心の問題や症状は、ある出来事に対して、あなたがそれをどう受け止めたか、どのような見方をしたのかなど、『認知(物事のとらえ方・視覚的イメージ)』の仕方によって、不快な感情や問題行動、身体反応などが起こると考えます。
そうした、『認知(物事のとらえ方・視覚的イメージ)』と『行動』を修正していくことで、ネガティブな気分や身体反応の解決を目指していく方法のことを『認知行動療法』と呼んでいます。



認知行動モデルで考える
産後うつ病の状態を考える場合、『うつ病』『パニック障害などの不安障害』その他の精神疾患と同じように図の『認知行動モデル』に当てはめて考えます。

人は、身体の外(対社会)や内(身体の症状や出産後の生理的変化、更年期などの生理的変化)の状況や環境に対して、様々な捉え方(認知)をします。
その『認知』が『行動』や『気分』、『身体化(状態・体調)』のネットワークを通じて一瞬に心身に影響を及ぼします。
認知療法/認知行動療法は、窓口として働いている『認知』や『行動』を修正することで問題解決を行っていく方法です。
また、鍼治療では『身体化(身体の状態)』の改善を目的に行われる方法です。




上記の図は産後うつ病の状態の説明です。

一例として、
『状況』としては、身体の内的状況と環境変化【出産後ホルモンの変化による身体のだるさと出産後の母親としてのプレッシャー感じている時】
『認知(物事のとらえ方やイメージ)』(その時に瞬間的にフッと頭をよぎった考え)としては【私にはうまく育てもことができない】【夫はダメな母親と思っているに違ない】図には書いていませんが【気が変になりそう】等を考えたことで、一瞬で『行動』『気分』『身体化(身体の状態)』に影響を及ぼすと考えます。

『行動』は、【子供を抱いたり、あやしたりすることを避ける】
『気分』は、【憂鬱】【悲しい】【不安】が起こっている
『身体化(身体の状態・反応)』は、【疲労感】【不眠】【動悸】等が起きる。


図にある『スキーマ』とは、人(あなた)が蓄積してきた体験や知識の集合体のことをいいます。
もう少し簡単に言うとわりと固定化している考え【思い込み】や【先入観】【ルール(こうしないといけない等)】【パターン化】などのことをいいます。
『スキーマ』はその瞬間に起きる『認知』や『行動』に強く影響を及ぼします。


どこで仕入れたか『子供はこのように育てないといけない』『沐浴の方法はきっちりとこうしてこうしないといけない』その他にもまだまだあると思います。
ただ悩んでいる多くの人は、『子供はこのように育てないといけない』【思い込んでいる『スキーマ』】と思っているために、そのスキーマを元に疲労などの影響も相まって『自分には子育てができない』と『認知』している状態であろうと考えます。



認知行動療法に鍼治療を加える
認知行動療法に鍼治療を加えることで、ホルモンの急激な変化によって起きている『身体化(身体の状態や症状)』にアプローチすることで、より認知と行動の修正が行いやすくなります。
3つの視点で問題解決に向けてアプローチを行っていく。

産後うつ病が起きる原因の一つに、出産時に起こるホルモンの急激な変化があります。
この変化が自律神経系や免疫系に影響を及ぼし、様々な身体症状が起きると考えられる。

例えば、
脳血流量の低下、全身倦怠感、疲労感、不眠、頭部や背部、頸部の重だるさ、肩こり、腰痛、その他の自律神経症状。
このような身体症状の解決に鍼治療は有効な方法の一つです。

うつ病に対して鍼治療効果の研究を目的にNIRSという機器(頭に付けている機器)で脳血流量測定
千田が精神科医の協力のもと約1年6カ月研究を行いました。
研究結果は学会で発表もさせていただきました。
掲載許可済



鍼治療の目的

1、脳血流量及び神経伝達物質の改善
手の肘から先と足の膝からに低周波の「はり通電」によって、脳血流量が増加します。うつ病は前頭前野の血流が低下していることがわかっております。また、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質を促すこともわかってきております。
また、顔や頭にも刺入することで脳血流が改善する場所がございます。


2、自律神経のバランス改善
主に交感神経の過緊張による自律神経症状は抗重力筋が緊張していることがわかっております。緊張している抗重力筋に鍼を行い緩めることで副交感神経が働くようになり自律神経のバランスが回復します。それにより、辛い身体症状が緩和していきます。


やり方は
1、脳血流改善を目的に、四肢末端への鍼治療プラス低周波鍼通電(20分~30分程度)(どこのツボではなく肘から先と膝から先に鍼治療を行うことで、脳血流が改善することがわかっている)

2、脳血流改善を目的に、頭のてっぺん付近(ツボ名は百会)と眉間(ツボ名は印堂)に鍼治療プラス低周波鍼通電(20分~30分程度)

3、脳血流改善を目的に、特に左前頭葉の2か所に鍼治療プラス低周波鍼通電(20分~30分程度)

4、耳と眼窩上神経(ツボ名は陽白)、眼窩下神経(ツボ名は四白)、オトガイ神経(ツボ名は大迎)に置鍼(20分~30分程度)(脳血流が改善することがわかっている)

5、人によって場所の違いがあるが、緊張している抗重力筋を緩めることで、自律神経のバランスを改善させることで辛い身体症状が緩和していきます。

以下のページもご参照ください。

『産後うつ病(不安を含む)の認知行動療法プログラム』-費用や回数等の説明をしております-

『産後うつ病の相談者に認知行動療法を行った例』

『産後うつ病で困られている方に認知行動療法と鍼治療を併用した例の』

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